よいちろ日記

忘れないようにメモ。

「ストーリーとしての競争戦略」タイトルで食わず嫌いして損してた。

「ストーリー」という単語から今流行の「ブランディングには物語が必要だ」(で、どうしたらいいんですか。)という表面的な話かと思って毛嫌いしてたけど、サンプル読んでみたら全然違った。硬派だった。500P近くあって長編だったけど、その分、なぜそうなるか、そう考えたかが、こと細かに書かれていて、リラックスして読めた。以下のメモには解釈が入ってるので、正確な記述は書籍を参照。 

 

この本の元ネタとなった「「バカな」と「なるほど」」も積読中。「ストーリーとしての競争戦略」のほうが納得感ある。両書の肝要である、非合理的な打ち手の非合理性を、先見性に求めるか、自社のその他の打ち手との相互作用に求めるかの違いなのだが、自分でどうにかできる度が高い「ストーリーとしての競争戦略」のほうが好き。

「バカな」と「なるほど」

「バカな」と「なるほど」

 

 

トーリー戦略の構造

  • 「ストーリー」とは、戦略上の各要素同士が、どう組み合って、関連しあって、どういうカラクリで競争力が出ているか、という話の流れのこと。
  • 競争力とは、他と違うことをすること、という説明に尽きる。
  • 利益を生み出す源泉は、低コスト化とWTP増加(Willingness To Pay、お金を払いたい気持ちが他の競合製品よりも強い)とニッチ戦略しか無い。
  • (本書のキモであるが)「いっけん非合理的に見える打ち手」を打てるかどうかがカギ。
    • その非合理性は、自社の他のすべての打ち手と相互作用することで、自社としては合理的になるようなもの。キラーパスと呼ぶ。他社がそのまま真似しても自分の首を締めてしまう打ち手。
    • いっけん非合理というのが重要で、成長市場に目をつけたり、規制緩和に目をつけたり、誰でもやりたいというようなものは、すぐに競合ひしめき合ってしまうので美味しくない。
  • ポジショニングはトレードオフと心得る。何を犠牲にするかを決めると理解しやすい。
    • ポジショニングとは、程度の問題ではない。画素がいいディスプレイが競争優位性になるということではなく。テレビ用には向いてないけど、水中ではものすごい使い勝手が良いディスプレイとか。
    • どんな顧客に嫌われて、何をしないか。
    • 具体的には、コストと品質のトレードオフだったりする。で、通常100であるその合算値自体を300にするのがオペレーションエクセレンスの競争力。
  • オペレーションエクセレンスは人材の作業効率だったり、作業品質だったりがジリジリ効いてきて効果を発揮することが多いので、他社にも一朝一夕では真似されにくい。企業内での暗黙知にもなっていたりするので、何がオペレーションエクセレンスのカギになっているか見えにくい。
    • Amazonはレコメンドがすごい、とわかったところで、そのレコメンデーションロジックがわからないと真似出来ないのに近い。
  • すべての打ち手が相互作用することで、全体の競争優位性を生み出している。
    • 結局のところ、戦略というのは、自社が活動している環境の中での、汎用性のない特殊解を見出す作業。
  • それらをコンセプトが束ねあげている。立ち戻るべきはコンセプト。
    • なにを提供するかが不明確なものに人はお金を払わない。
    • 顧客が、本当のところ、何に対して価値を見出してお金を払っているのかを突き詰める。
    • ここをコンセプトと呼ぶ。スターバックスはコーヒーを売っているのではない。
  • そもそも業界が儲かっているか、業界構造として利益が出やすいかは重要。
  • 他社に追随されるというのが基本的な懸念としてある。競争戦略とは、他社と違ったことをして利益を生み出すためのシナリオなので。
  • 全体のパスはこんな感じ。
    • 【ピッチコンディション】業界が儲かってるか。(when)
    • 【リーグの状況】業界構造として利益がでやすいか。(where)
      • ここでは先行者優位を狙えれば良いよね。というくらい。
    • 【シュート】コスト優位性なのか、WTP優位性なのか、ニッチ狙うのか。
    • 【監督】コンセプトはなにか。
    • 【パス回し】自社のSP(what、ポジショニング)、OC(how、オペレーションエクセレンス)郡はなにか。お互いがどうつながっているか。
      • 相互作用すればするほど、お互い強化し合えばし合うほどよい。
    • キラーパス】他社から見ると一見非合理に見えるが、自社にとっては合理的な打ち手はあるか。
    • 【試合振り返り】上記を統合した時に、「真似されにくい」「コンセプトを提供できている」「利益が出ている」か。(why)
  • 競争優位性を何で生み出すか(コストかWTPかニッチか)→コンセプトは何か→SP(ポジショニング)とOC(オペレーションエクセレンス)はなにか→キラーパスはどうするか→戦略の一貫性チェック、という順番で組み立てていくと良さそう。
  • ただし、どこまで行っても、競争優位性はこちら側の話で、顧客になにを提供するかという部分がはっきりしないと、意味がない。

わかりやすさのための事例

  • SPの優れた例
    • ガリバーインターナショナルの​買取専門という位置づけ。
      • オークションに流すことを前提に買取専門とすることで、安定した買取価格、在庫リスク減を実現している。
      • 中古車(または新車)を売る、という行為から開放されるからこそ、店舗での在庫を考えながら(下取り価格、人気車種の在庫状況)買い取りしなくてよくなった。
  • OCの優れた例
    • セブンイレブンの仮説検証型発注。
      • 店員が持っているローカルな情報にもとづいて発注されるので機会最大化している。
      • 仮説を立てやすくする教育環境や全体会議のあり方などが暗黙知的に確立されているため模倣されにくい。

Tips

  • 企業の設立当初はディシジョンメイキングによって発揮できるSPで優位性を求め、その後OCを強化していくという流れが一般的。
  • 筋の良さは、蓋然性、要素同士のつながり、パス回しの中心となるボランチ的な存在があるかどうか。
  • コンセプトは人間の本性を捉えたものである必要がある。生活者の行動から、どんなものがあったらみんな喜ぶか、ということを徹底的に考えるしか無い。
  • 他社が模倣をしようとすると、非合理的なキラーパスを打てなくて、逆に全体調和を崩して差が開いていくパターンもある。キラーパス大事。
    • キラーパスは業界の常識を疑うような態度でうまれることがある。
  • すべて合理的な打ち手で構成された戦略も模倣はされてしまうが、オペレーションエクセレンスに支えられたものがあれば模倣までには時間がかかる。